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Day04
01

今日はメインレースの予選。
まだ全然コースを覚えてなかったので、朝6時に早起きしてコースを回り、1時間で集中的に頭に叩き込んだ。そのお陰でコースとチェックポイントの位置関係が見えてきて、シミュレーションも一通り押さえることができた。

チェックポイント係のボランティアたちは、朝からバタバタだ。
朝食の時間になりコテージから表の通りに出てみると、マツドがいいペースで試走していて、いい汗をかいていた。
「おー、気合い入ってるねー!」
「今回、狙ってますから。(ニヤリ)」
「頑張れよー!」
頼もしい奴だ。シノにジュリに、マツドにトミー。
さぁ、どうなるか今年の大会。自分も残れたら、決勝に残りたいなぁ。

02

スタート地点に行ってみた。まだ全然始まる気配がない。
今年はスタートに携帯電話を使うそうだが、一体どうやって使うんだろう?
周りからも色んな憶測が出ていたが、指示は電話なのか?それともメールが送られて来るのか? もしかして、ドッキングもあったりするのか?
レース中に電話が鳴っても気付かなかったらまずいので、ちゃんと音が聞こえる位置に持っとかないと。

03

大会ディレクターのショーンの説明によると、どうやらメッセンジャーはスタート時に街に散らばり、ディスパッチャーからの電話で、最初に行くチェックポイントの指示を受けるそうだ。
タイム計測はその電話のタイミングからスタートするらしい。電話が用いられるのは、その最初だけだという。
街のどこにいても、何をしていてもOK。誰の携帯がいつ鳴るかは、まったく不明。
ディスパッチャーからの指示をひたすら待ってる姿は、まさに日常業務のようで面白い!

04

スタート前、日本人チームは皆スタート地点に集まっていたが、一人、マツドだけがいなかった。
どうやらCMWCに初めて参加する彼は、スケジュールはあってないようなものだということを知らず、レースが予定時間通りにスタートすると思い、既にコース上のリロードのチェックポイント前で待機していた。

「ちょっとイタズラしてみようぜ」ということで、ディスパッチャー役のスタッフをやるエイスケくんがレース本番のように電話をしてみた。
「スタート地点に戻って、マニフェストを受け取って下さい。」
さあ、どんな感じでスタート地点に現れるか?
超楽しみ。

しばらくすると、すごい勢いでマツドが走ってきた。
会場は、まだレースの準備中で和やかな雰囲気なのに
一人だけ真剣な形相で、
「どこ!?マニフェストどこ!?」って一人で叫んでいる。
それを見て皆、大爆笑。
「うそ、嘘。まだレース始まってないよーん。」
「なんだよーーーーーーー!!」

05

その直後、マツドの携帯電話の電源が入らなくなってしまった。
出た!グアテマラの携帯電話。マツドのも壊れてしまった。
ゼッケンが偶数の選手は午前中スタート、奇数の選手は午後スタートということになり、マツドは午前中、自分は午後のスタートだったので、自分の携帯を貸してあげた。

いよいよレースが始まったようなので、自分とマツドは中心部の三叉路へ行ってみた。他国のメッセンジャーたちの多くも、同じようにそこで待機していて、その光景は本当に普段の業務中そのもののようで面白かった。
20人くらいはいただろうか。
「お前もまだ鳴らない?」
「全然鳴らないなぁ。さっきから誰の電話も鳴ってないぞ。」
コース上を走る人数が制限されているらしく、鳴らない人はずーっと鳴らなかった。
「俺、もう1時間くらい待ってるよ(笑)」
「普段のヒマな日みたいだ。」

06

そのうち、誰かの携帯が鳴る。
「… Yes。ナンバー189。OK。Go to Samurai。(ガチャ) 」
(サムライとはNYCにあるメッセンジャー会社の名前で、今回のチェックポイントの一つ)
彼は真剣な表情で自転車に飛び乗り走り去っていった。
皆「Yeahーー!がんばれー!!」
そして一人、また一人とコース上に消えていく。
「次は誰の電話が鳴るんだ!?」
自然と一体感に包まれていく。

そして、日本人も一人ずつ、スタートしていった。
いよいよマツドもスタートし、自分の携帯を返してもらった。

07

スタート地点へ戻っていると、急に電話が鳴った。
ディスパッチャー役のエイスケくんからだ。
「もう奇数組も始まるので、そのままどこかで待機していて下さい。いつ鳴るかは分かりません。」
急にドキドキしてきた。いよいよ自分の番だ。
午後組のメッセンジャーたちも、次々と出発していき、いよいよ自分の携帯が鳴った。

「レーサーNoは?」
「87です。」
「OK。リロードへ行ってマニフェストを受け取って下さい」
「了解!!」
リロードか。すぐ横じゃないか!ラッキー!!
いよいよレースがスタートした。

マニフェストには、21種類の仕事が記されていた。
どこからどこへ、どんな荷物で、片道の料金と往復の料金、2Q(ケツァル:グアテマラの通貨単位)から16Qまで色々なオーダーがあった。

コース上には12か所のチェックポイント(会社)があり、各所とも2つのデリバリーが用意されていた。何をどの順番でやるかは、各自の判断で好きな方に決められる。
荷物は1つずつしか引き取れないが、届ける時は複数あれば同時に届けても構わない。
ただ、1時間の制限時間内にゴールラインまで戻らないと、ペナルティーとして1分につき5Qずつ、稼ぎから引かれてしまう。

08

街の様子は、警察が主要な交差点で交通整理をしてくれているが、基本的には日常の街と同じだ。
トラックやトゥクトゥクもコース上を走っているし、子どもや犬も走り回っている。
けれども、普段通りにやるだけだ。

だが、売上が高いとされたビールケースの扱いに手間取ってしまった。
舗装路なら片手で持って走るが、これだけデコボコ道だと片手ではスピードが出せない。
バッグのフラップとストラップで挟んで背負う。
途中すれ違ったマツドは、タイヤチューブをビールケースに通し、両肩で直接背負っていた。なかなかやるなーと感心した。
メッセンジャーの仕事で求められる「臨機応変さ」で差が出るところだろう。

09

今回は冷静にレースをこなして、楽しむつもりだったが、やはり今回もかなりのハイペースで追い込んで走ってしまったので、作戦を完璧に立てられないまま、「1~2コ先のチェックポイントを確認しては爆走」を繰り返してしまった。
効率よく行けたはずのルートを2ヶ所逃し、余計に2周回してしまった。やっぱり先に確認をしてから進むべきだった。
走りの方も後半に失速し、長くてダラダラ続く登りで思うようにスピードが出なかった。
バタバタのうちに、タイムも残り10分を切り、仕方なくゴールへ向かった。
果たして結果はどうだったか?
皆、ゴールしてお互いのレースを語り合う。

しばらくして結果が発表される。
この1次予選で決勝レースへ駒を進められるのは、トップ30人のみ。
2次予選(敗者復活レース)で残りの10名が決勝に進むことができるらしい。

10

リザルトに人が群がる。
まず、マツドが大喜びで戻ってきた。
「やったー!5位だ、5位!!うぉーーーっ!!」
そして、自分も群れの中へ。
シノが振り返って、静かに喜んだ。
「やった、やった。4位だ。」
嬉しそうだ。

さて、自分の結果は・・・、あれ?・・・どこだ・・・?
あった!通過30人のボーダーラインの、更にだいぶ下の方に。
全然、かすりもしない結果だった。。。
「こんなにダメだったとは…。」
発表されてる自分の売上金が、自己計算した額より全然足りない。シノやマツドの額の半分もいってないなんて、いくらなんでも…。

11

今回は、地元の人にもマーシャル(審判)になってもらい、コースを逆走したり、Uターンをしたり、ショートカットした選手を見つけたら50Qのペナルティーが科されるのだが、思い当たるフシは全くない。
もしかしたら、前半組がやっている時に、ヘルメットを被って走り回っていたから、レース中と勘違いされたのかもしれない…。ショック。

結局、日本人で1次予選を通過したのは、シノ、マツド、トミーの3人だけだった。
前年度チャンピオンのジュリは、最初にマニフェストをピックアップした時に、封筒をその場に置いてきてしまったらしく、ゴール地点でそれを取りに戻り10分くらいタイムロスをして、ペナルティーをかなり受けてしまったらしい。

今回は珍しく敗者復活レースが用意されているため、1次予選は少し厳しめに通過人数が絞られたそうだ。 17時半から、通過できなかった人全員で一斉スタートによるアーリーキャットスタイルの敗者復活レースが始まった。

12

今度は、スタート以外ルールは同じだが、制限時間が30分に短縮された。
あまり欲張らずに効率のよい仕事だけをやって、制限時間ギリギリを狙ってゴールすれば行けそうだ。それと、最初に皆が群がりそうなチェックポイントは避け、一つ先のチェックポイントから向かうことにした。

作戦では、サイズオーバーの割増が付いた売上単価の高いビールケースを基本のデリバリーに定め、その途中に通るチェックポイントでついでに乗せられる荷物だけをピックアップし、ダブルドロップ(2つ届け)&1ピックアップを含むループを完成させ、ひたすら走った。
今回は順調だ。

13

気が付けば残り10分。
ここからまとめていく時間帯だ。
ゴールまでの所要時間を逆算し、残った時間で少しでも稼げそうな仕事を選ぶ。
ここで欲張り過ぎるとタイムアウトで失格になる。

いよいよ時間もギリギリとなり、最後はリロードに立ち寄って荷物をドロップし、ゴールまでのスプリントは、ありったけの力でデコボコ道を走った。心拍数は200近かっただろう。
何とか時間内にゴールすることができ、売上伝票を整理して提出。ざっと計算しても、1回目の半分の時間で前回以上に稼いだ。
もう出し切った感じだったので、決勝に残れなくても納得の行く走りはできた。

ゴール後、周りの反応を聞くと、あそこでミスしたとか、あそこで時間食ったとか、結構手応えのない感想の人が多かったので、「これはイケるかも」と思い始めた。
結果は今夜発表とのことで、とりあえず片付けを手伝って宿に帰った。