THIS IS A BIKE


『これは自転車です。』なんて普通に訳してはいけません!『A』のトレードマークに象られた“道”は、それぞれが走っていく道、それを彩る景色、その先にある未来‐自転車という相棒と生きていく人生
という意味が込められているのです。
このインタビューでは、様々なフィールドで活躍する人の自転車との出会いや、自転車と共にある人生、自転車を通したライフスタイルを通して、それぞれの『THIS IS A BIKE』を紹介していきます。

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SIN saitou
01

信さんが、自転車に乗るようになった経緯は?

オーストラリアを自転車で回ってみたくて、まず体力をつけようと横浜でメッセンジャーになりました。その時に手に入れたのがこの白い中古のロードレーサーで、もう10年くらい前になるかな。 今どき6段変速のWレバーだからね(笑)
メッセンジャーをやったお陰で、体力もついたし酒も強くなった(笑)

どれくらいやっていたんですか?

3年くらいかな。 その間にオーストラリアに行ったんですけどね。2002年だったかな。

02

あんな大陸をよく自転車で行きますね。回っていて大変だったことは?

北は暑くて南は寒いでしょ、日本と逆で。その差がきつかったな。 北のケアンズで、靴を脱いでアスファルトに立った時、暑さで溶けたアスファルトが靴下にくっついてたから、相当な暑さでしょ?(笑)
あとは日本のように、街がずーっと繋がっているわけではなく、長くて50kmとか70kmも何もなかったりするから、最初は焦ったけど、すぐに慣れた(笑)。結局7ヶ月行ってたけど、大変だったことってそんなにないかな。

敢えて言えば、ハエの数がすごくて、もうハンパない!走ってる時に口に入って食べちゃったり、鼻で吸っちゃったこともある。あいつら、しつこいんだ!追いかけてきてさ。 大体、時速25km/hくらいまで出すと、ハエから逃げられた気がする(笑)

ハエかぁ~、ハエは嫌ですねぇ。

03

他にアクシデントなどもあったんですか?

冬にキャンプ場に立ち寄って休憩していた時に、寝袋を盗まれちゃって。その夜がもう寒くてね、持っている服を全部着て耐えた(笑)。 けど翌日、別のキャンプ場で余っている寝袋をもらえたの。ラッキーでしょ?

それはついてますね! オーストラリア人って勝手なイメージですが、いい人が多そうな気がします。旅のお供に欠かせない!っていうものは、何かありましたか?

コンパスかな。壊れちゃってから、結構困った。あとは、やっぱ猪木の本でしょう!

アントニオ猪木ですか!?

あの人はね、すごいよ! この本に出会ってから、今でもずっと愛読してるよ。『元気があれば、何でもできる!』みたいなね(笑)。

タバスコを最初に日本に持ち込んだのもあの人ですよね?

04

話しは変わりますが、オーストラリアですから、野生の動物もたくさん見ました?

いっぱい見た。カンガルー、ワラビー、エミューの群れ、コアラ。けど、カンガルーとコアラは生きてるより死体の方が多かったな。車にはねられて、いっぱい死んでんの。コアラはね、木の上にいるとカワイイけど、死体はね、手が異様に長くて足が短くて、猿みたいだったよ。

ん~、微妙な話ですね。コアラも車にはねられちゃうなんて悲しい。見たくないですね。 オーストラリアを自転車で回ってみて、何か自分の中で変わったことはありますか?

距離感覚がマヒした(笑)。10km単位とか1時間単位で数えるから。10km以下は、まったく遠く感じない!日本に戻った時、成田から横浜のメッセンジャー会社の事務所まで自転車で帰ったら驚かれたけど、日本は全てが狭いというか、近いというか。すぐ着いちゃった。

やっぱりオーストラリアを自転車で行った人は強いですね。

05

その後、旅人になって、そのままカンボジアに移り済むことになったんですよね?

タイ、ラオス、カンボジア、ベトナムと東南アジアを回ったんだけど、カンボジアがすごく気に入って、一旦帰国後に、今度は移住するつもりで、仕事も決まってなかったけど自転車だけ持ってアンコールワットに行って。 着いたその日に、現地の日本食レストランを経営している日本人に偶然会って、それがきっかけでそのお店で働くことになりました。

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06

何かついてますねー!この就職難の時代にうらやましい(笑)。どんな仕事だったんですか

それが、いきなりマネージャーになって(笑)。スタッフはオーナー以外、すべて現地の人だったので、 特にトラブルがなければ料理の味見だけやってました(笑)。正しい日本食の味かどうか、時々チェックするの。

え? 味見係りですか?(笑)

そう(笑)。ま、それだけじゃないけどね。 やっぱりトラブルがあった時は土下座したこともあったし。結局3年やったんだけど、色々勉強になった。実際は、大変なことの方が多かったかな。

07

そうですよね。 それで、その後に独立されたんですよね?

3年やって、独立を考えていた頃、ちょうどプノンペンで同じく日本食レストランの経営の話しがあって、それで始めた感じ。

日本食レストランって、どんな料理を出すんですか?

何でもあった。そば、うどん、ラーメン、とんかつ、天丼、定食もの、てんぷら、刺身、寿司、カレー、ステーキ、、、向こうでは富裕層向けの高級レストランって位置づけで。

何でもあるんですね。日本食が恋しくなったりせずに済みそうですね(笑)。

08

向こうでも自転車に乗っていたんですか?

乗ってましたよ、主に通勤で。店のオーナーが自転車で通勤してくるもんで、あるとき現地のスタッフたちが『頼むから自転車に乗らないでくれ!』って言うから、『大丈夫、慣れてるし危なくないから』って言ったんだけど、『そうじゃなくて、こっちが恥ずかしいから車に乗ってくれ』って(笑)。 笑えるでしょ? 向こうの自転車は、まだスポーツ車とかも少なくて、自転車は貧乏人が乗る乗り物っていう見方が強いんだよね。

恥ずかしいからって(笑)。じゃあ、向こうはレースとかはないんですか?

毎年12月にアンコールワットで自転車のレースがあって、その時期は店が忙しくてなかなか出られなかったんだけど、独立してようやく4年越しに念願の出場ができた。
アンコールワットバイクレース』って言って、マラソンと併催しているイベントで、前回は自分が唯一の日本人参加者だったので、ぜひ他の日本人にも参加してもらえたらと思います。アンコールワット遺跡を訪れるのとセットで行くと最高です。

09

単なる観光だけより、レース参加などの目的があった方が、より楽しいですよね。 では最後に質問なんですが、信さんにとって自転車とは何ですか?

うーん。何だろう? 『フロ』と同じくらい大事、かな。

お風呂ですか?

気持ちいいし、ないと困るし、毎日入っていたいし、心も体も安らぐみたいな?? 違うか(笑)。